【セミナー・ゼミ】 研究室における論文紹介の発表のやり方メモ Part1

研究室に配属された後、定期的に(週1回程度)論文紹介セミナーがあります。私も今まで数回発表をしてきました。この体験(?)をもとにして、発表方法(正しくは、発表"準備"の方法)をここにメモしておきます。
なお、所属する学科や研究室によって詳細は異なるとは思いますし、場合によってはこのようなセミナーそのものが存在しないかもしれませんが、そこはご了承ください。

発表するしないに関わらず、自分の研究分野に関する論文をいずれ読むことになるとは思いますが、今回の記事はその場合は考慮していません。その論文で得られたものが何かを知ればいいのですから、細かく解説する意味も無いでしょうし。

私の場合、発表までの準備期間はおおよそ2週間です。最初はこの準備に1ヶ月程度かけていましたし、慣れてくれば、あるいは短期集中型ならば、1週間以下(私の知る限り、最短は3日)で済ませることも可能だと思います。

発表までのおおよその流れは、次のとおり。

  1. 論文を探す
  2. 論文を読む
    • 分からない単語・用語を調べつつ、一通り目を通す
    • 本文を全訳(いずれ、省略できるようになることが望ましい)
  3. 内容を理解する
  4. 発表用の資料を作る
  5. 配布用の資料を作る
  6. 発表用の原稿を作る

以下、それぞれの項目について簡単にメモをしておきます。"私の場合"という言葉が目立つかもしれませんが、ご了承ください。

※この記事では「論文を読む」までを書いています。続きは執筆中。

論文を探す

探し方は大まかに3つの方法に分けられます。

  1. 雑誌から直接探す
  2. 論文検索サービスを使う
  3. ニュースサイトに掲載された記事のソース
雑誌から直接探す

Science, Cell, Nature などの雑誌(有名どころは分野によって異なると思います)から直接探すというもの。特に決まったテーマがなく、「何か良い論文はないかなー」と言う場合の方法ですね。
論文は、おそらく先生(教授)の部屋や図書館で閲覧できますし、各々の雑誌の公式Webサイトからも見ることができます。Web上で見る場合、原則として何らかの有料登録が必要ですが、学校側から何らかの権限が与えられていることが多いので、適宜確認してみましょう(私の場合は学内からのアクセスのみで閲覧可)。
論文は日本語英語その他さまざまな言語があるとは思いますが、今回の記事では論文が英語である場合を想定して話を進めます。

有名どころ3つ。

Science
http://www.sciencemag.org/
Cell
http://www.cell.com/
Nature
http://www.nature.com/nature/

ここには、Scienceの論文の抄訳が載せられています。要約・タイトルが直訳ではなく、文体が興味を引かれやすい。
http://www.ricoh.co.jp/abs_club/Science/

論文検索サービスを使う

Ciniiなどの論文検索サービスで論文を探すと言うもの。ある程度発表するテーマが絞られていたり、興味のある対象が具体的である場合に有用。
登録なしに、論文がすぐにダウンロードできる場合もあります。

ニュースサイトに掲載された記事のソース

ニュースサイトなどで、科学系のニュースはしばしば目にします。日々流れるニュースの中から面白そうな記事を見つけたら、この機会に紹介するのも良いでしょう。

サイエンスポータル
http://scienceportal.jp/
Yahooニュース - サイエンストピックス
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/science/
朝日新聞社 - サイエンス
http://www.asahi.com/science/
はてなブックマーク - 新着エントリー(科学・学問)
http://b.hatena.ne.jp/entrylist/knowledge

この辺の情報を定期的に見るなりRSSに入れておくなりすれば、いい情報に出会えるかもしれませんし、そうでなくとも、科学的な見聞・知識が広がることと思います。

論文を読む

論文を見つけたら、次に論文を読むステップに移ります。なお、ここでいう「読む」とは、どちらかと言うと「一通り目を通す」であり、この次のステップである「理解する」とは少し異なる意味合いで用いています。補足しておきますと、(私にはまだ難しいレベルの話ですが)いずれ、「読む」=「理解する」という状況になるのが理想であることは言うまでもありません。

論文を読む場合、PC上でPDFを眺めながら見るのもいいですし、私のように紙に印刷してやっても構いません。ご自分のやりやすいようにどうぞ。


私の場合、「単語の意味調べ」⇒「全訳」⇒「理解」と、論文を3ループすることにで、内容を理解するようにしています。

単語・専門用語の意味を調べる

論文を眺めながら(内容は理解しないつもりで)、知らない単語・専門用語を調べていきます。一般的に用いる辞書(電子辞書含む)では内容の理解のために不十分である可能性が高いので、必ず各分野の専門用語が掲載されている辞書を使用しましょう。
辞書は図書館で借りたり、長らく使用する場合は自分で買うなどして入手できるほか、無料で使えるオンライン辞書もありますので、そちらを使うのもお勧めします。

ライフサイエンス辞書
http://lsd.pharm.kyoto-u.ac.jp/ja/index.html

私が愛用しているもの。医学・薬学・生命科学の分野の英和辞書で、オンラインで検索することが主ですが、オフラインで使えるフリーソフトも配布されています。

Yahoo!辞書
http://dic.yahoo.co.jp/
goo辞書
http://dictionary.goo.ne.jp/

専門用語でない単語・熟語の場合は、これらの"普通の"辞書のほうが頼りになります。

いちいち各ページを経由せず、ブラウザから直接検索したい場合もあるでしょうから、適宜、以下の情報も参考にどうぞ。

Webブラウザの検索バーをカスタマイズする方法
http://keijisaito.info/arc/search/cs_set.htm

IESleipnirGrani)、FirefoxOperaLunaScapeの各ブラウザについて、検索バーをカスタマイズする方法が載せられています。Chromeの場合は、検索エンジンを追加して「google [検索語]」のように、「キーワード+(半角スペース)+調べたい語句」とすれば検索可能です(成功すれば、○○で検索: と出ます)。


この段階で、文法上注意を要する部分や、何回も出てくる単語をチェックして、分かりやすいようにメモをしておくと今後の作業が楽になるでしょう。
ちなみに、私は論文を紙に印刷し、ネット上の辞書を使いながら、単語のメモを紙(ルーズリーフ)に書いていくと言う手法をとっています。

本文の全訳

先のステップで調べた単語を下に、本文を全訳していきます。
AbstractやFig.の補足文章については、知らない単語を調べておくにとどめ、全訳はしないでもいいでしょう(もちろん状況にもよりますけど)。訳するにあたって、文中の"Fign , FigSn"や、参考文献を示す"[n]"なども訳文に加えておき、必要に応じて「この段落はFignの説明」などの補足を加えるのも良いでしょう(わたしは、印刷後に段落を大きな"]"で括り、"Fign"と書き足しています)。
科学論文でよく使われる言い回しもいくつかあります(投稿文章の長さが定められていることによる、文章量節約のための技術?)けれども、それを紹介するのはまた別の機会に。

私は、この作業はパソコン上で行っています(中身はただのテキストファイル)。理由としては2つあり、ひとつは私は字がうまいほうではないので、自分の文字だと見づらいということ。腕も比較的酷使することになるので、健康上(?)宜しくありませんし。もうひとつの理由としては、まぁこちらのほうが重要になるのですが、修正や追記が簡単なことです。文章の意味が分からず適当な直訳になっていた文が、後々ちゃんとした意味として通じる文に変化することは良くある。

わたしは、意味の分からない文章に遭遇した場合、適当に訳したあとに訳文の文頭に"?"をつけ、理解がいまいちだったことを示すマークとして活用しています。

このステップは、最終的に省略、つまり、英語を「英語のまま」読めるようになるのが望ましいです。